眠れない夜

眠れないことに焦燥感を抱くことはよくあると思う。翌日の予定を考えると寝なきゃいけないのにと無駄に焦る。焦るから眠れないのに。

 

 大学4年の夏休みは、その眠れない夜と同じような焦りを毎日感じている。 学生の終わりは唐突だ。私の学生としての人生は、果たしてこれで良かったのだろうか。やり残したことはないか?やるべきことはないか。社会に出ることへの不安が日に日に募る。

 

学生は贅沢だ。ぐうたら過ごしても問題のない日が続き、勉強は義務ではあるが強制ではない。やりたいと思ったことは都合が付けば大体のことが出来る。

 

社会へ出るとなって、改めて文学の贅沢さを感じる。もうあと4か月後には卒業論文を提出しているなんて、一体どうしたら想像できるのだろう。言葉は並べられても、それが実感出来ない。

 

本当に馬鹿な考えだと思うが、私のこれまでの人生は文学ありきだった。文学のない日常が、私にはわからない。誰かの紡いだ言葉の塊が文学だとして、私はそこから情報を読み取り価値を付けることをしてきた。その能力が他に生かせたらいいのに、これはやらなくなった途端に衰える種類のものだ。

 

もっと本を読めるうちに読まなきゃだとか、知識を蓄えなきゃという、焦りばかりで努力をしない。そうして半年がすぎて、私はいつの間にか社会人になって、もう文学とは無縁の生活をするのだろう。

 

そうして荒んだ人間になるのかもしれない。そうなったらどうしよう?

 

つまり私は文学至上主義すぎて、それに関わりのなくなる自分に耐えられないのかもしれない。