2016-01-01から1年間の記事一覧

無題

最近気づいたのだけど、私は映画をあまり観ない。自分が映画を観ていなかったことに気づかないくらい、映画を観ない。いや、そうではないな。最近、「私が」映画を観ていないことが不自然に思うようになった。 そもそも私は大学生になるまで、自分が多趣味で…

雑文

蹲踞から立ち上がって、中段の構えをとるときの、「スッ」とする感じが忘れられない。試合の時も地稽古の時もただの練習の時だって、構えたらもう目の前の相手に技を決めることしか考えていなかった。その日帰ってきたテストの成績も友人との諍いも明日に迫…

私たちはもう随分と遠くに来てしまった

三日前あたりから、世界にむせ返るような甘い香りが漂っている。言わずもがな、金木犀である。そんな金木犀の季節を、 期待外れな程 感傷的にはなりきれず 目を閉じるたびにあの日の言葉が消えてゆく 【赤黄色の金木犀/フジファブリック】 と歌ったのは故・…

歌舞伎鑑賞教室に行った話

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。 『方丈記』 鴨長明 高校生の時、授業で冒頭を暗記させられた。その時は覚え…

『風に舞いあがるビニールシート』森絵都

単位が取れたか落ちたかはさて置いて、私はもしかしたら人生最後となる夏休みを手に入れた。大学のゼミの教授には「今年の夏休みが勉強する最後のチャンス」と言われ、私ももう、今年何かしなければもう一生何かを成し遂げることはないと思った。 同級生たち…

萩尾望都『トーマの心臓』

昔から漫画と小説が好きだ。小説との出会いは小学校3年生の夏休みに出会った「パスワードシリーズ」(松原秀行/青い鳥文庫)だとはっきり覚えているが、漫画に関しては覚えていない。と、いうのも私が生まれた時から我が家には漫画が溢れかえっていたのだ。母…